なんか重い話が続いたので、純粋に面白かった人種差別がらみの話を。
これまた私がまだ夫と二人暮らしだった時のことです。
その日は自宅のある地下鉄の駅から二駅離れたところにあるパブで、夫のお友達と飲んで話して楽しく過ごしておりました。
ご機嫌でお開きになったのですが、普段は歩ける距離なのに飲んだくれた夫は「もう歩きたくなーい」と、ハイヒールを履いたギャルのようなコメントを放ちバス停のイスに座り込んでゆらゆらしていたので、まあいいか、と私も数歩離れた位置にあるコンビニの広告を読んでバスを待っていました。
遅い時間帯だったのでバスの本数は減っていて、次のバスは20分くらい先のようでした。
ちょっとするとアフリカ系のイスラム教徒と思われる女性が夫の隣にちょこんと座り、彼女もバス待ちの体制に入りました。
またしばらくすると、明らかに酔っ払ったラスタマンがこちらに歩いてきました。
ラスタマンが夫の前を通り過ぎて行ったと思ったら、くるっとキレイに回れ右をして夫の目の前に戻ってきて夫の顔を覗き込んでいます。
なんだろな、と離れたところで見ているとラスタマンが夫に向かってこう言いました。
「オメェさん、何見てんだ?あれか?オメェさん、人種差別してっだろ?え?」
酔って疲れている夫はもう面倒くさくて返事もせずに、ジェスチャーだけで「あっち行けよ」とやってます。
それに応えるかのように「あ!ほーら!!やっぱり人種差別主義者じゃねぇか!!」とさらにカラんできます。
夫もようやく声に出して「違うって」とやっぱり面倒くさそうに答えますが、ラスタマンはなおも食い下がってきます。
これ、どっかのコメディアンがやってたネタだ、などと思っていると夫がちょっと中腰になったのでこりゃマズイということで私が割って入りました。
「彼、私の夫だから人種差別ってのはありえないよ」
どの角度から見ても白人ではない私がそう言うので、ラスタマンは私の左手と夫の左手をぐいっとつかみ結婚指輪を確認し「ありゃま、ウソじゃねぇみたいね」とこぼしました。
そしてあろうことか「んじゃ、あれだ、記念におごってくれよ」とかわけわからないことを言い出したちょうどその時、バスがきてドアが開くとドライバーさんが運転席から「まーたお前か!もう家に帰れよ!」とツッコミを入れるという、流れるようなコントが展開された一夜でした。
もう一人いた女性は真横でコントが繰り広げられているのに微動だにせず、まるで何事もないかのようにするっとバスに乗り込んでいかれました。
何もしてないのにこの女性が一番面白かったような気がします。
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